本研究は以下のような基本的な考え方に基づいた新しい公営住宅のあり方について具体的な住宅計画と供給システムについて検討するものである。 (1)多様な家族類型に対応できる。(2)異なるライフサイクルに対応できる。(3)居住集団の互助機能を高めるような集合的協同的環境をつくる。 今年度は以上のような基本的な考え方に基づいた新しい公営住宅のあり方について以下のような視点で実現性の高い具体的な住宅計画について検討した。 ・住戸内の各部屋は壁で仕切るのではなく可動間仕切りで仕切る。可動間仕切の仕切方によって多様の平面型が可能になるよう、可動間仕切りの位置や全体の平面構成を検討。なお、アンケート調査により個室のプライバシーについては可動間仕切りでも問題ないという結果が出ている。 ・各住戸は基本部分とそれに隣接する付加空間から構成し、付加空間を様々な組み合わせでそれぞれの住戸の基本部分に付加できるようにする。そうすることによって35パターンの平面型が可能となり様々な家族類型に対応できる。また、時々に応じて隣家どうしの話し合いや隣接する居住者の転居に伴い付加する空間を替えることができ、ライフサイクルの変化にも対応できる。
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