本研究は、寺院建築の空間構成や建築構造・技法が、中世から近世に移行する際にどのように変化するのかを、現存遺構に則して解明しようとするものである。平成11年度は、研究計画に従って、国宝・重要文化財実測図集を購入し、これを利用して、顕密諸宗派の寺院の仏堂を対象に、その平面構成、天井・架構、間仕切り方法・建具、装飾意匠、須弥壇・厨子、床仕上げ、小屋構造等の建築の形態について整理を行った。併せて、西日本に所在する若干の遺構(当麻寺・法隆寺・唐招提寺・東寺・浄土寺等)について現地調査を行い、図面上で確認できない改造等について調査を行った。次年度ではこれを踏まえつつ、実測図のない近世の遺構について、現地調査を行って、11年度の成果と比較検討する予定である。
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