研究課題/領域番号 |
11650661
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
日向 進 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (60111994)
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研究分担者 |
松田 剛佐 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (20293988)
矢ヶ崎 善太郎 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (90314301)
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キーワード | 町家 / 普請 / 災害復興 / 「工数日記帳」 / 「大福工数帳」 / 近世都市 |
研究概要 |
災害時の建築生産体制を検討するためには、平常時における様態の検討が前提となる。この点については、近世京都で代々町家大工を家業とした田中吉太郎家文書を素材として検討し、その成果は『近世京都の町・町家・町家大工』(日向、平成10年、思文閣出版)に収めた。本調査研究では、田中家文書に加えて、普請関係文書が豊富な丹後宮津の三上家と、三井家京本店に対象を広げ、緊急性を要する災害時の復興がどのような建築生産体制によって可能とされたのかについて検討した。今年度は田中家文書のうち、これまで知られていなかった「工数日記帳」(仮称)を中心に分析を行った。現段階で確認することができたのは、職人の動員体制に特殊性があるということである。すなわち、「工数日記帳」は横軸に大工名、縦軸に日をとり、月ごとに各大工のその日の出入り先等を記している。約100枚あり、年号は不明のものが多いが、この史料と、これまでから分折を進めている「大福工数帳」と照合することにより、大工の就業形態がより詳細に検討することが可能になる。平常時に比べると新築工事の受注数が大幅に増加することに対応するため、臨時に多数の大工を動員することにより非常事態に対応していたことが読み取れる。通常の出入り関係をもつ職人以外の流入、参加があったことが確かめられた。「工数日記帳」は写真撮影を行い、「大福工数帳」とともにさらに翻刻作業を進めている。
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