昨年度行った作業は、以下の通りである。 (1)文献調査;鎌倉武士住宅史料について調査し、収集した史料をデータベース化した。 その作業のためにCD-ROM版『吾妻鏡』(吉川弘文館発刊)ほかを購入し、また幾つかの刊本索引資料を購入した。データーベースの入力にアルバイトを使用した。 (2)史料検討;鎌倉時代から室町時代中期までの各種住宅指図を収集し、その比較検討から、当該期の住宅史上の問題を選び出し、それに該当すると思われる語彙を上述のデーターベースから検索して比較検討した。 (3)成果の発表;上述の作業から、まず鎌倉時代の都市・鎌倉における執権と連署の邸宅史料をすべて集めて検討することにより、それらの位置がこれまでの通説とは異なり都市鎌倉の中心部に構えられていたこと、それらが私邸ではなく代々の執権と連署に受け継がれる公邸であったことを明らかにした。これを日本建築学会に投稿し採用が決定した(今年7月号に掲載される)。 (4)発掘資料の予備調査;当該期の住宅遺構の発掘調査例を調べるため、鎌倉、京都、奈良、福岡などの各歴史資料館や大学、埋蔵文化財センターなどに出張し、必要な刊行物を購入した。
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