昨年度行った作業は、以下の通りである。 (1)文献調査;鎌倉時代から室町時代前期にかけての住宅資料図書を補充し、また、研究の利便性を考えて『古事類苑』全51巻を購入した。 (2)史料検討;鎌倉時代から室町時代中期までの各階層の住宅史料を個々に検討した。その結果に基づき、中世前期の住宅史を再検討した。 (3)成果の発表;上述の作業から、中世前期の住宅は社会階層に応じて書院造り化の進展状態が異なることを見いだし、その視点から書院造り成立過程について現在までの通説とは異なる新たな論を構築した。その論文を完成させ、東大出版会から今年度に刊行される論文集に掲載される予定になっている。 (4)発掘資料の予備調査;当該期の住宅遺構の発掘調査例を調べるため、奈良国立文化財研究所に出張した。また韓国の住宅史との関係を理解するために日韓建築史交流セミナーに参加した。
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