研究概要 |
1.強磁場による鉄合金のフェライト変態への影響を磁場中熱処理後の組織的な変化から検討した。 (1)はじめに分子場理論により鉄-炭素合金のオーステナイト/フェライト平衡相境界を計算した。1テスラにつき約2℃のα->γ変態点の上昇がみられた。 (2)30Tの磁場をかけると、α/γ変態点は910℃から〜970℃に上昇する。そこで、Fe-0.06mass%C合金を用いて、850,950および1050℃の各温度で30Tの磁場をかけながら20分間保持し、組織観察を行った。使用したマグネットは金属材料技術研究所極限場研究センターのハイブリッドマグネットである。磁場をかけないで同じ熱処理を行ったものと比較したところ、850℃と950℃では磁場中で熱処理したものは結晶粒がやや小さい。1050℃では磁場に垂直な断面の組織は磁場をかけないで熱処理を行ったものとあまり変わりないが、磁場と平行な方向にはかなり伸長した結晶粒が見られた。今後、この点を確認し、伸長粒生成のメカニズムを検討する。
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