研究概要 |
申請者らの研究グループによって開発された「Cuの粒界に分散させたシリカ粒子の形状を観察することにより粒界エネルギーを精度よく求める手法(シリカ粒子形状観察法)」を用い,方位差角θをそれぞれ38.9および50.5°に固定し,回転角φを0〜90°の範囲で変化させたΣ9およびΣ11[110]非対称傾角粒界を含むCu双結晶を用いて,粒界エネルギーの回転角依存性を実験的に決定した。ここで,方位差角θは二つの結晶粒の[001]方向の開き角であり,回転角φは対称面と粒界面の開き角を意味する。 Σ9[001]非対称傾角粒界では,粒界エネルギーは回転角が大きくなると概ね単調に減少しφ=65°において最小値に達した後再び増加する。一方,Σ11[110]非対称傾角粒界では,φ=10,35,65および90°においてエネルギーカスプが現れる。このことは、低Σ値の傾角粒界であっても,対称粒界よりも粒界エネルギーが小さく規則性の高い非対称粒界の存在することを意味している。本研究における以上の成果は,適切な加工熱処理法を用いることにより破断強度の高い低エネルギー粒界を優先的に分布させた微細再結晶組織を容易に実現できることを示唆している。
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