本研究は、金属間化合物の1つであるB2規則化合物やその関連化合物を含むFe-Al-Co-Ti4元系に注目し、金属間化合物の相安定性や各化合物間の2相分離を実験的・理論的に明らかにし、相平衡に関する基礎的データの蓄積を図るものである。今年度は初年度として、既に相平衡が明らかにされているFe-Al-Co3元系にTiを少量添加した4元合金を用いて実験を行い、以下の成果を得た。 1.Fe-Al-Co3元系で不規則相A2と規則相B2とに2相分離する合金でFeの一部(2、4%)をTiで置換した合金で不規則相、規則相の出現、相分離の存在を透過電子顕微鏡観察で調べた。その結果、Tiの添加はDO_3規則化をB2規則化に対して相対的に安定化し、B2/DO_3変態温度を高温度側へ引き上げる。その結果、Fe-Al-Co3元系では観察されていないDO_3規則相の関与する相分離、(A2+DO_3)と(B2+DO_3)が4元系で923K以上の高温に出現する。 2.Tiを2%添加した合金では、A2相、B2相およびDO_3相の3相分離領域の存在が初めて確認された。しかし、Tiを4%まで添加した場合には、3相分離領域は存在しない。 3.透過電子顕微鏡内でのEDS化学組成分析により、Ti原子は主にDO_3に分配されることがわかった。
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