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2001 年度 実績報告書

合金強度の基礎としての転位-溶質原子相互作用の系統的測定

研究課題

研究課題/領域番号 11650682
研究機関帝京科学大学

研究代表者

小杉 俊男  帝京科学大学, 理工学部, 助教授 (10153545)

研究分担者 中道 功  広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40142335)
西野 洋一  名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (50198488)
小暮 嘉明  帝京科学大学, 理工学部, 教授 (20016124)
キーワード転位-溶質原子相互作用 / 銅 / 固溶強化 / 内部摩擦 / 振幅依存症 / 低温 / 相互作用エネルギー / 相互作用ポテンシャル
研究概要

転位と溶質原子との相互作用が主に合金強度を決定する。FCC金属結晶における転位と溶質原子の相互作用エネルギーの正確かつ系統的決定を行う目的で、銅の振幅依存性内部摩擦(ADIF)を溶質原子種を系統的に変えて測定することが本研究の計画(平成11年度から平成13年度まで)であった。
最終年度のこの1年間に以下の実績が得られた。最初に作成した板状の純度99.99%のCu単結晶(4N銅)では内部摩擦の測定条件がうまく満たされなかった。その後新たに99.99%無酸素銅(4N銅)とJohnson Mattheyの99.9995銅(5N銅)を用いブリッジマン法によって長さ8-10cm、直径約1cmの円筒状の単結晶を作成した。ラウエ法による結晶方位解析後、放電加工機を用いて複合振動子法における水晶振動子との共振条件を満足する長さに4N銅、5N銅をそれぞれ成形した。
室温でのADIF測定の結果、4N銅はこの状態でも比較的転位が低密度であることが分かった。しかしながら5N銅では転位が比較的多く存在し転位同士の相互作用が大きいことが分かった。そこで液体ヘリウム温度領域での転位と不純物原子の相互作用の測定は4N銅のみで行った。
ADIFの低温(4-40K)での温度変化から次のことが分かった。温度依存性はCottreII型の線形弾性論に基づいた相互作用ポテンシャルでほぼ説明できた。同じFCC結晶であるAIの場合、転位芯における弾性の非線形性を考慮する必要(modiffied Cottrellポテンシャルの提案)があったが銅の場合はポテンシャルにおける非線形の影響は小さいと結論される。銅では転位が明確に2つの部分転位に分かれている事実が知られており、このため転位の歪みが転位芯でも比較的小さいためと考えれば理解できる。測定から決まった、転位と1個の不純物原子の相互作用エネルギーの値は0.10eVであった。
以上のように転位と1個の溶質原子(不純物原子)の相互作用が銅結晶において詳細に決定できることが明らかになった。今後、特定の溶質原子を導入してADIFを測定することで固溶強化のミクロなメカニズムを明らかにすることが切望される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] T.Kosugi: "Temperature dependence of amplitude-dependent internal friction due to simultaneous breakaway of a dislocation from several pinning points"Mater. Sci. Eng. A. 309-310. 203-206 (2001)

  • [文献書誌] A.V.Granato: "Tunneling of a dislocation through a pinning obstacle"Mater. Sci. Eng. A. 309-310. 207-210 (2001)

  • [文献書誌] Y.Hiki: "Internal friction measurement of organic glass below and near glass transition temperature"J. Non-Crystalline Solids. (in press). (2002)

  • [文献書誌] T.Ozaki: "Far-infrared absorption due to thermally activated relaxation in vitreous silica"Physica B. (in press). (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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