1.La_<0.6>Sr_<0.4>Co_<0.2>Fe_<0.8>O_<3-δ>のへ意図的にSr欠損を導入した試料の物性を明らかにした。 電子と酸化物イオン(O^<2->)の混合導電体であるLa_<0.6>Sr_<0.4>Co_<0.2>Fe_<0.8>O_<3-δ>セラミックスの酸素透過膜への応用を目指し、そのO^<2->導電性の向上を図るために意図的にSr量を欠損させた試料(La_<0.6>Sr_<0.4-x>Co_<0.2>Fe_<0.8>O_<3-δ>)を作製した。即ちO^<2->の拡散は試料内部の酸素空孔を介して起こるため、故意にSr量を欠損させることで電気的中性を保つために酸素空孔を新たに生成させることを目的とした。Sr欠損型試料は、xが0.025以下でほぼペロブスカイト単相であった。この範囲で酸素不定比性を調べたところ、xの増加に伴って酸素量の低下が見られたことから、期待通り酸素空孔が新たに導入されたと判断した。また電子導電率はxの増加とともに低下したが、これは酸素空孔量の増加によりp型電子導電キャリア濃度が減少したためであると考えられる。しかし導電率は依然として100Scm^<-1>以上と高い値であった。よってSr欠損型試料は酸素空孔濃度増加によるイオン導電性の向上が期待でき、また電子導電性も高いので、酸素透過膜材料として有望であることがわかった。 2.La_<0.6>Sr_<0.4>Co_<0.2>Fe_<0.8>O_<3-δ>のへのSr欠損導入が酸素輸送特性に与える影響を明らかにした。 試料の酸素透過流束を高及び低酸素分圧間に置いた試料内部を透過する酸素量を、購入したガスクロマトグラフィーで評価することにより求めた。その結果、Sr欠損量xが0.025の試料で、従来の定比型試料に比べて約1.5倍の酸素透過量が得られた。つまりSr欠損型の新規な試料を用いることで、酸素空孔量の意図的な増加によるイオン導電率の向上と、それによる酸素透過能の向上を図ることができた。
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