平均粒径0.9および2.2μmの高温相PbNb_2O_6粉体を合成し、1250°〜1300℃の温度で1時間焼成し、粒径とクラック発生状況を調べた。焼結体の平均粒径は1250℃のときに5μmであり、温度の上昇に伴い、粒径は増加したが、その程度は0.9μmの粉体を用いたときの方が大きい。いずれの焼結体にもクラックが発生していたことから、クラックの発生しない臨界粒径は5μm以下であることが分かった。 粒成長を抑制するために、La^<3+>、Gd^<3+>、Dy^<3+>、Ti^<4+>、W^<6+>の添加物の効果を調べた。粒成長を抑制する効果の認められた添加物はLa^<3+>であった。La^<3+>を2%添加し、1250℃で焼成した場合の平均粒径は約2μmであり、焼成温度を1300℃にしても約4μmであった。La^<3+>添加量の増加に伴い、平均粒径は減少した。焼結体には殆どクラックが認められなかったことから、クラック生成の臨界粒径は約4μmであることが分かった。その他の添加物を加えた場合には、粒成長が不均一になり、粒径分布が大きくなった。特に、Ti^<4+>を添加した場合にはduplex構造になった。この場合、大きな気孔が発生し、その大きさは焼成温度の上昇に伴い大きくなった。 純枠なPbNb_2O_6の誘電率は約300であるが、添加物を加えることにより誘電率が高くなり、例えば、5%のLa^<3+>を加えた焼結体では約800であった。また、添加物を加えることにより分極が容易になり、圧電性が改善された。例えば、通常のPbNb_2O_6の周波数定数は1600程度であるが、La^<3+>を加えることにより約2200まで上昇した。
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