研究概要 |
SrBi_2Ta_2O_9(SBT)は疲労を生じない材料としてFRAMへの応用が期待されており研究がなされている。本研究ではSr,Bi,Taアルコキシドを用いたゾル・ゲル法によりSBT薄膜を作製し、その結晶性、配向性、微構造、誘電特性および強誘電特性について評価した。 組成はSr_<0.7>Bi_<2.2>Ta_2O_9とし、前駆体溶液は室温混合により調製した。Pt/Ti/SiO_2/Si基板上にスピンコーティングし、乾燥した後、核生成の促進、効果的な残留有機物の除去および核生成の促進のため水蒸気の導入、エキシマUV照射ならびにシード層の導入、等を検討した。その後、RTAにより400℃または所定の温度で仮焼し、これを繰り返した後各温度で本焼成をしSBT薄膜を作成した。 ランダム配向したSBT単相を600℃で得ることができ、従来の加熱処理をした前駆体溶液に比べ約100℃低温で結晶化することができた。その強誘電特性は2Pr=1.1μC/cm^2,2Ec=25.7kV/cmであった。また、アセチルアセトンを添加することにより焼成温度750℃でc軸配向したが、2Pr=14.1μC/cm^2,2Ec=91.1kV/cmと比較的良好な強誘電特性を得ることができた。 各仮焼プロセスを検討した結果、Biシード層の導入は低温化には有効ではなかったが、適度な水蒸気の導入は結晶性の向上には有効であり、水蒸気60min導入し、2段階仮焼を行い、本性成温度750℃で作成した薄膜は2Pr=8.7μC/cm^2,2Ec=91.1kV/cmであった。また、エキシマUV照射により600℃で結晶性が向上することがわかり、低温結晶化のための有効な方法であった。
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