デンドリマーグラフト化超微粒子と結晶性高分子とのナノ複合体の合成と環境応答機能

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11650708
• 研究機関: 新潟大学
• 研究代表者: 坪川 紀夫 新潟大学, 工学部, 教授 (20018675)
• キーワード: カーボンブラック / デンドリマー / グラフト化 / ポリエチレングリコール / ブロックコポリマー / ナノ複合体 / ガスセンサー / 溶質センサー

研究概要

本課題では、カーボンブラック(CB)表面へのポリアミドアミンデンドリマーのグラフト反応について検討した。ついで、デンドリマーグラフトカーボンブラック末端のアミノ基と結晶性ポリマー末端官能基との化学結合を介する、分子レベル(ナノオーダー)での複合化を試みた。さらに、この様なナノ複合体のガスセンシング機能をについて検討した。また、ポリエチレンとポリエチレンオキシドとのブロック共重合体をグラフトしたカーボンブラックナノ複合体のセンシング機能についても検討した。研究成果の概要は以下のとおりである。
1.CB表面へ導入したアミノ基を開始核としてアクリル酸メチルのMichael付加反応と、それに続くエチレンジアミンによる末端アミノ化を順次繰り返すことにより粒子表面へポリアミドアミンデンドリマーがグラフトできることが分かった。
2.縮合剤の存在下では、CB表面のカルボキシル基とデンドリマーの末端アミノ基との縮合反応によりカーボンブラック表面へデンドリマーがグラフトすることが分かった。
3.CB表面ヘグラフトしたデンドリマー末端のアミノ基とポリエチレングリコール(PEG)の末端カルボキシル基との2次グラフト反応が縮合剤の存在下で進行し、デンドリマーグラフトCBに新たにPEGが2次グラフトすることが分かった。
4.デンドリマー末端にPEGを2次グラフトしたCBから作製したナノ複合体の電気抵抗値は、PEGの良溶媒であるメタノールやエタノール、及びブタノール蒸気中で大幅かつ鋭敏に上昇し、空気中へ戻すと、初期抵抗値に復帰することが分かった。したがって、この様な複合体は、アルコールセンサーとして利用できることが分かった。
5.ポリエチレンとポリエチレンオキシドとのブロック共重合体(PE-block-PEO)をグラフトしたCBから作製したナノ複合体の電気抵抗値は、含塩素ハロゲン化合物蒸気やヘキサン中のそれに鋭意敏に応答することも明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] 坪川紀夫: "Grafting of hyperbranched poly(amidoamine) onto carbon black surface using dendrimer synthesis methodology"Polym.Adv.Technol.. (印刷中). (2001)
• [文献書誌] 岡崎真喜: "Curing of epoxy resin by ultrafine silica modified by grafting of hyperbranched poly(amidoamine) using dendrimer synthesis methodology"J.Appl.Polym.Sci.. (印刷中). (2001)
• [文献書誌] 陳進華: "Novel gas sensor from polymer-grafted carbon black : Vapor response of electric resistance of conducting composite prepared from poly(ethylene-block ethylene oxide)-grafted carbon black"J.Appl.Polym.Sci.. 77,11. 2437-2447 (2000)
• [文献書誌] 陳進華: "Electric Properties of conducting composite from poly(ethylene oxide) and poly(ethylene oxide)-grafted carbon black in solvent vapor"Polym.J.. 32,9. 729-736 (2000)
• [文献書誌] 陳進華: "Novel gas sensor from polymer-grafted carbon black : Responsiveness of electric resistance of conducting composite from LDPE and PE-b-PE-grafted carbon black in various vapor"Polym.Adv.Technol.. 11,3. 101-107 (2000)