| 研究概要 |
多目的一方向凝固装置を使用してNi-Al-Mo系共晶合金の溶解・金型鋳造を行った後,一方向凝固を行うことにより,γ/γ'母相中にモリブデン繊維が凝固方向と平行に配列したスーパーコンポジット(高融点金属繊維強化in-situ複合材料)を作製した.凝固速度変化および第4元素添加等の組織制御を行い,メゾスコピックな組織因子の制御を試みた.その結果,凝固速度が速くなるにつれてスーパーコンポジット中の強化相(α相;モリブデン)の相間隔が減少するとともに試料内部に形成されるセルの直径も大きくなることを実験的に示した.また,強化相の形態に注目すると,低凝固速度ではファイバー状のα相が,凝固速度が速くなるにつれてラメラー状に変化することが分かった.また,第4元素としてReとIrを添加した結果,両元素の添加によって強化相(α相)の相間隔は,無添加材と同様に、凝固速度が速くなるにつれて減少する傾向が認められた.同一凝固速度で比較すると,ReおよびIrの添加によって相間隔は大きくなり,その形態もラメラー状になり易い傾向を示した.
スーパーコンポジット試料の高温における内部組織の安定性を調査した.その結果,強化相と母相の間に界面反応生成物は全く生じないことを確認した.この結果は,本スーパーコンポジットが高温用複合材料として優れた組織安定性を有することを示す.さらに,最高500時間の熱処理を行い,スーパーコンポジットの硬度変化ならびに強化相の形態変化を調査した.無添加材の硬度は500時間の熱処理によって約10%低下するのに対して,第4元素としてRe,Irを添加した試料の硬度低下は小さく,Re,Irの添加によってスーパーコンポジットの高温安定性をさらに向上させることが可能であることを明らかにした.また,強化相の形態に注目すると,熱処理時間が長くなるにつれて粗大化傾向が認められた.
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