研究概要 |
スーパーコンポジット(高融点金属繊維強化in-situ複合材料)に対して,凝固速度変化,第4元素添加および熱処理等によりメゾスコピックな組織制御を行った.その結果,凝固速度が速くなるにつれて強化相(α相)の相間隔が減少するとともに試料内部に形成されるセルの直径も大きくなること,および低凝固速度ではファイバー状のα相が,凝固速度が速くなるにつれてラメラー状に変化することが分かった.また,第4元素としてReとIrを添加した結果,両元素の添加によって相間隔は大きくなり,その形態もラメラー状になり易い傾向を示した. スーパーコンポジット試料の高温における内部組織の安定性を調査し,強化相と母相の間に界面反応生成物は全く生じないことを確認した.さらに,最高500時間の熱処理を行い,スーパーコンポジットの硬度変化ならびに強化相の形態変化を調査した.無添加材の硬度は500時間の熱処理によって約10%低下するのに対して,第4元素としてRe,Irを添加した試料の硬度低下は小さく,これらの元素がスーパーコンポジットの高温安定性を向上させることを明らかにした. 組織制御したスーパーコンポジット材に対する高温引張試験を行い,高温強度および高温延性を評価した.その結果,試作した材料は800℃で最高1198MPaの引張強さを示し,Mar-M247,CMSX-2などの商用Ni基超合金と同等の高温強度を有することを示した.凝固条件を調整して強化相の形態をファイバー状からラメラー状に変化させると,高温強度は僅かに低下するがほぼ同等の強度を有することを示した.高温酸化実験の結果,スーパーコンポジット材は商用Ni基超合金よりも優れた耐酸化性を有し,ReとIrを添加することよってこの耐酸化性はさらに改善されることを示した.
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