研究概要 |
Co_<75>Ti_<25>(mol%)組成の金属混合粉末を遊星型高エネルギーボールミルを用いてアルゴン雰囲気中、室温でMA(メカニカルアロイング)を行い、構造変化と生成物の熱的安定性をXRD,SEM,TEMおよびDTAで調べた。さらにボールミルした粉末の磁化の変化を調べて、各ミリング段階での構造変化を追跡した。数ksのミリング後、Co/Ti層の新鮮界面で固相反応が起こり、11ks後にはアモルファスCo_<75>Ti_<25>が生成する。このアモルファスをDSCを用いてアルゴン中で加熱すると、880ksで規則化したfcc-Co_3Tiに変態(結晶化)する。室温でさらにミリングを続けると86ks後にアモルファスから結晶への変態、つまり結晶化が起こり、準安定bcc-Co_3Tiナノ結晶が生成する。この結晶化はボールミルの媒介物質、つまりボールによって発生する衝撃力や剪断力にアモルファスが抵抗出来ないことにより生じると考えられる。さらにミリング時間が増すと、bcc-Co_3Ti結晶中に幾種類もの格子欠陥が生成し、それが系の自由エネルギーを上昇させ、360ks後にはアモルファス相が生成する。このメカニズムは、金属間化合物をMG(メカニカルグライディング)するとアモルファスが生成する場合と同じと考えられる。本研究の結果、Co_3TiのMAにより、結晶/アモルファスが順次出現して、結晶/アモルファスサイクル変態が生じることがはじめて明らかになった。
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