研究概要 |
前年度に引き続きCo_<75>Ti_<25>組成(mol%)の金属混合粉末をアルゴンガス雰囲気中で高エネルギーボールミルを用いてミリングして、生成物の構造がどのように変化するか調べた。すなわち、上記混合粉末のミリングによる構造変化と熱的安定性の変化をXRD, SEM, TEMおよびDTAで追跡した。また、試料振動磁力型(VSM)によりミリングに伴う磁化の変化を調べ、構造変化の妥当性をチェックした。短時間のミリング後に先ずCo/Ti相の界面で固相反応が起こり、ついでアモルファスが生成することが確かめられた。室温でさらにミリングを続けると、このアモルファスは結晶に変態、つまり結晶化する。この結晶相の構造はbccである。アモルファスをDSC中で加熱して結晶した場合にはfcc相が得られることとその構造が大きく異なっている点が注目される。このようなミリングによる結晶化はボールによって与えられる衝撃力や剪断力にアモルファスが抵抗できないことによって生じると考えられ、熱的な結晶化と異なっている。さらにミリングを続けると結晶中に格子欠陥が生じ、それが系の自由エネルギーを上昇させ、再度アモルファスが生成する。このメカニズムは金属間化合物のMGによってアモルファス化すると類似すると考えられる。本研究で、結晶・非晶質の変態が繰り返し起こることが確かめられると同時に、その機構に関して考察を行った。
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