研究課題/領域番号 |
11650713
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
粕壁 善隆 東北大学, 留学生センター, 助教授 (30194749)
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研究分担者 |
山田 幸男 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60005816)
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キーワード | 窒素注入 / 蒸着チタン薄膜 / 窒化チタン / hcp-fcc変態 / 反射高速電子回折法 / その場観察 / 透過電子顕微鏡法 / 電子エネルギー損失分光法 |
研究概要 |
窒化チタンの物性はチタンと窒素の組成比によって金属性から絶縁性まで変わり、チタンと配位子である窒素との結合環境も変化する。この窒化チタンを次世代のデバイスに応用するには、組成とともに変わるチタンと配位子との結合環境をその場観察で明らかにし制御する必要がある。そこで、本研究では、反射高速電子回折法によるその場観察のできる超高真空装置中で膜厚100nmのTi薄膜を作製し、イオン注入法によりその薄膜に窒素(62keVのN_2^+)を注入して窒化チタン薄膜の成長する素過程を透過電子顕微鏡法で評価するとともに、電子エネルギー損失分光法による電子状態評価の結果と合わせて、窒化チタン薄膜の物性の発現機構及び制御性に関する知見を得てきている。蒸着Ti薄膜にはhcp-Tiの他にTiHxも成長していた。TiHxの窒化ではfcc-Ti副格子の四面体位置の水素が脱離し、fcc-Ti副格子の八面体位置に侵入した窒素がTiと結合してTiNyが成長した。水素の脱離は、注入イオンから与えられたエネルギーによりTi3dとH1s軌道の混成した結合性軌道から反結合性軌道に電子が励起されて起こると考えられ、プラズモンによる損失ピークの低エネルギー側へのシフトをもたらすことが分かった。hcp-Tiの窒化では、hcp-Tiの局所的な原子の配列を継承した変態によりできたfcc-Ti副格子の八面体位置の窒素がTiと結合し、TiNyが成長した。TiNyにおけるTi3dとN2p軌道の混成した結合性軌道からなる価電子帯の電子密度をプラズモンによる損失エネルギーから評価した結果、注入量の増大に伴い電子密度が増加することが分かった。これは結合に関わる窒素量が増大するためと考えられる。これらのことより、窒化チタンの物性を制御するための指標としてプラズモンによる損失エネルギーが使える可能性を明らかにした。
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