ハイブリッドモデルによるクラスター堆積膜の作成過程とその物性評価

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11650714
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 川添 良幸 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30091672)
• キーワード: モンテカルロ直接法 / クラスター堆積過程 / 希薄流シミュレーション / 古典分子動力学法 / ボルツマン方程式 / 最適作製条件 / 材料設計 / ハイブリッドモデル

研究概要

本研究は、空間的、時間的にスケールの異なる現象を統一的に取り扱うことのできるハイブリッド模型を提案し、第一原理計算を基本として、モンテカルロ法、タイトバインディング法、及び古典分子動力学法を駆使して、既に実験的に行われている複雑な物質の創製過程のシミュレーションを行い、その本質の理解を深めることを目標としている。
原子レベルでのシミュレーションとマクロな物質創製過程の解析を融合する試みは、極めて困難であり、従来ほぼなされていなかった。今回は、この重要なテーマに本所のスーパーコンピューターを限界まで活用して立ち向かっている。原子数として100個程度の系は、第一原理計算がそのまま適用できるが、現実的な系の詳細な物性計算を行うことは出来ていない。本研究では、この問題を抜本的に改善すべく、第一原理計算結果からエネルギーパラメーターを抽出し、その値をモデル計算のパラメーターとして利用し、複雑な構造を持つ大規模系へ適用している。
これまでに、モンテカルロ直接法を用いて、希薄流体からのクラスター成長過程をシミュレートし、各種の実験条件がクラスター成長に及ぼす影響を調べると共に、それらが基板上で作る新しい構造の持つ物性を検討した。

研究成果

• [文献書誌] H.Mizuseki,Y.Kawazoe: "Simulation of Crystal Growth in Solution by Hybrid Modeling"Materials Transactions JIM. 40・11. 1337-1341 (1999)
• [文献書誌] H.Mizuseki,Y.Jin,J.Z.Yu and Y.Kawazoe: "Cluster Growth in Cluster Beam Deposition Process by Direct Simulation Monte Carlo"Proceedings of Magneto-Optical Recording International Symposium '99, J. Magn. Soc. Jpn.. 23・S1. 103-106 (1999)
• [文献書誌] H.Ichikawa,R.Sahara,H.Mizuseki,K.Ohno and Y.Kawazoe: "Monte Carlo Simulation of Cu-Au Alloys on FCC Lattice with a Renormalized Potential"Materials Transactions JIM. 40・9. 911-914 (1999)
• [文献書誌] Z.Zeng,H.Mizuseki,K.Ichinoseki,K.Higashino and Y.Kawazoe: "Marangoni Convection in Half-Zone Liquid Bridge"Materials Transactions JIM. 40・11. 1331-1336 (1999)
• [文献書誌] Z.Zeng,H.Mizuseki,K.Ichinoseki,K.Higashino and Y.Kawazoe: "Numerical Simulation of Convection Depth in Shear Cell under Microgravity"Adv. Space Res.. 24・10. 1321-1324 (1999)
• [文献書誌] J.S.Tse,D.D.Klug,C.A.Tulk,I.Swaison,E.C.Svensson,C.-K Locng,V.Shpakov,V.R.Beloslvdov,R.V.Bilosludov & Y.Kawazoe: "The mechanisms for pressure - induced amorphization of ice I_n"Nature. 400・. 647-649 (1999)
• [文献書誌] K. Ohno, K. Esfarjani, Y. Kawazoe: "Computational Materials Science"Springer - Verlag. 326 (1999)