研究概要 |
鉄を0.05mass%および0.2mass%含む平均結晶粒径50μmの高純度Al-4.5mass%Mg合金について,高温変形特性及び空洞に及ぼす鉄晶出物の影響について調査した.両合金は温度613Kから693Kの範囲でひずみ速度1x10^<-5>s^<-1>から1x10^<-2>s^<-1>の広い範囲でひずみ速度感受性指数0.3を示し,ひずみ速度1x10^<-3>s^<-1>において破断伸び350%以上を示した.空洞体積率は,ひずみ1.1において0.2Fe合金は0.95%,0.05Fe合金は0.65%を示した.空洞の分布範囲は,ひずみ0.2において0.5から3μmであるが,ひずみ1.1においては0.5から最大10μmまで広がる.ひずみ1.1では,直径1から2μmの間の空洞が最も多く,0.05Fe合金は75個/mm^2,0.2Fe合金では110個/mm^2である.空洞数および空洞体積率が鉄量の増加とともに増大するのは,空洞の核生成が鉄晶出物と密接に関係しているためである.空洞の核サイトとなる晶出物の最小直径は,実験結果から粒界では1.5μmであり,粒内では0.5μmである.これはNeedleman-RiceパラメーターΛから予測できる臨界直径(2Λ)1.6μmおよぴ0.2μmに近い値である.それゆえ,この合金で空洞を抑制するためには晶出物を小さくすることが重要である.
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