研究概要 |
硅素(Si)を0.09wt%、および0.2wt%含む結晶粒径50μmの高純度Al-4.5Mg合金について、高温変形特性および空洞に及ぼす硅素晶出物、Mg_2Si,の影響について調査した。両合金は温度613Kから693Kの範囲でひずみ速度1x10^<-4>-10^<-2>/sの広い範囲でひずみ速度感受性指数0.3を示し、温度653K,ひずみ速度1x10^<-3>/sにおいて破断伸び350%以上を示した。0.2%Si合金は0.09%Si合金より空洞量が多く、空洞の核発生が晶出物と母相との界面に発生していることから、空洞発生にSiが関与していることが明らかとなった。空洞成長速度は0.09%Si合金でも0.2%Si合金でも同じ程度であるが、空洞数においては0.2%Si合金がはるかに多い。このことは空洞の核生成速度がSi量とともに増加することを意味している。空洞核形成に対する臨界粒子サイズは臨界拡散長さとほぼ一致し、粒内に存在する粒子の方が粒界の粒子より空洞核を形成し易いことがわかった。さらに、高速超塑性を示すSi3N4/Al合金複合材料におけいて、Si3N4粒子に関わる空洞核形成条件を調べた。その結果、空洞核形成の臨界粒子サイズは、液相が存在しない条件ではStowellらが示した臨界ひずみ速度式あるいは馬渕らが示した臨界応力式で評価できることがわかった。しかし、高速超塑性にとって重要な働きをする微量の液相が存在する場合には、臨界粒子サイズの理論値は実験値より小さく、液相の存在により臨界粒子サイズが増大していることが判明した。
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