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2000 年度 実績報告書

電気防食の大気腐食への適用に関する基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 11650734
研究機関東京大学

研究代表者

篠原 正  東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70187376)

キーワード大気腐食 / 電気防食 / カソード防食 / 鉄 / 防食電位 / 水晶微量天秤(QCM) / Kelvinプローブ
研究概要

水晶微量天秤(QCM)のFe電極上に所定の量の海塩を付着させ、種々の相対湿度(RH)下でFe電極にアノード(あるいはカソード)電流を流しつつ、そのときのFeの腐食速度をQCMによって、またその電位をKelvinプローブを用いて測定した。海塩付着量10^<-2>g/m^2、RH70〜90%における内部分極曲線-正味のアノード分極曲線(Feの腐食速度)と防食電流と正味のアノード電流との差から求められる正味のアノード分極曲線-を求めることに成功した。また、この結果を基に、Feの腐食速度が1μm/y以下となるための防食電流および防食電位は、湿度によらずおおよそ20μA/cm^2および-750mV vs.SCEであることが分かった。
海塩に種々の量の水を加え、所定の(水/海塩)-質量比における抽出水溶液の比重や比抵抗を測定した。つづいて、種々の湿度下での海塩の吸着水量を測定しこのときできる水膜の組成を推定した。同一の(水/海塩)-質量比のもとでは水膜の特性が、上述の抽出水溶液のそれと等しいとして、水膜の比重や比抵抗を求め、水膜の厚さおよび実際の抵抗を見積もった。この結果と上述の防食条件とから、鉄の腐食が問題となる(海塩/湿度)-条件下でアノードにかける必要防食電圧を見積もると数十V以下であり、実機で十分実用化できる可能性が示された。
プラスチック板にぬれ性がよい塗料を塗装し、これに鉄細線を埋め込んで欠陥部とした。アノードから欠陥部までの距離を10cm〜180cmまで変化させたものを、東京商船大学清水臨海実験実習所(静岡県清水市、海洋性大気環境)に暴露し、アノードから種々の大きさの防食電流を流しつつ、鉄細線に流れ込む電流およびその腐食状況を調べた。降雨時以外にも防食電流が流れることを確認したが、鉄電極(細線)付近のぬれ性を確保することができず、鉄細線を防食するまでには至らなかった。これは、水膜が島状になっている、あるいは(アノード/水膜)-間あるいは(模擬欠陥/水膜)-間の電気的接続がうまくとれていない、ためと考えられる。

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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