研究概要 |
加圧焼結中に非平衡相から平衡相への相変化が生じた場合の緻密化挙動に及ぼす効果について検討した。本研究にはTi-37.5mol%Si組成のメカニカルアロイング(MA)粉末を用いた。長時間MA処理(3600ks)したアモルファス相からなる粉末(アモルファス粉末)と(Ti+Si)のラメラ相からなる360ksMA処理した粉末(ラメラ粉末)を用いた。 まず、これらのMA粉末の相変化挙動を明らかにした。その結果を基にし真空ホットプレス(VHP)を用いて緻密化挙動について検討した。あらかじめ一定圧力(10〜200MPa)を加えて、その圧力を保持したまま一定昇温速度(5〜20K/min)で1273Kまで加熱し10.8ks保持した。アモルファス粉末,ラメラ粉末共にDTAで観察した相変化温度と一致する温度域で焼結体の密度が不連続に増加した。この間の挙動について、(1)発熱反応による温度上昇、(2)粉末の再配列、(3)非平衡相からなる焼結体を用いた熱膨張測定、(4)密度増加量のVHP圧力と昇温速度依存性、について検討した。その結果、非平衡相からなる粉末が平衡相へと相変化する際に粉末の変形が促進された結果、焼結体の緻密化が促進されたと結論付けられた。 相変化後、アモルファス粉末はTi_5Si_3単相となることから緻密化が停止した。ラメラ粉末はシリサイド生成後もTiが残存していることから密度上昇が続く。両粉末とも1050Kから再び密度が上昇を開始するが、このような温度域においてTi_5Si_3は変形できないことから、VHPにより形成された約100nmの結晶粒径のナノ結晶粒に起因する粒界すべり(微細結晶粒超塑性)により緻密化が進行したと考えられる。 アモルファス粉末焼結体は極めて微細な約100nmのナノ結晶粒径を有し、硬さHV1336破壊靱性1.84MPa・m^<0.5>を示した。
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