研究概要 |
加熱固体面に衝突する液滴粒子の変形挙動と固液界面の接触状況を同時に観察する手法を確立した.これは,2台のビデオカメラと2台のフラッシュランプを用意し,フラッシュコントローラで2つのフラッシュランプを同期発光させることで実現した.また,固液界面の濡れ/非濡れを明確に区別して観察するため,液体と空気の屈折率の違いを利用する全反射法を採用して時間経過にともなう固液接触状況を観察した. 液滴の基本的な衝突挙動を把握するため,まず非加熱平板と液滴の衝突実験を行った.液滴が固体面と衝突する際,ある条件下で,液滴は固体面とリング状に直接接触し,その内側の領域は,液滴と固体面の間に存在していた空気が閉じ込められる.それによって液滴内部で気泡が形成されることが確認された.初期の空気が巻き込まれる領域の面積は,液体の種類,衝突条件等によって変化した.これを幾つかの無次元数で整理をすることを試みた結果,初期の空気巻き込み面積とレイノルズ数の間に強い相関関係が確認された. つぎに,加熱面に衝突する液滴の固液接触面の実験的観察を行なった.液滴と固体面は,固体温度が液滴のライデンフロスト点以上の温度でも直接接触が起こり,その後沸騰により多数の蒸気気泡が形成されることが明らかになった.蒸気気泡は時間の経過にしたがって成長,合体を繰り返し,また,そのうちのいくらかは,固体面から離脱し,液体中を上昇する.そして,これらの蒸気気泡が液滴の分裂破壊に重要な影響を及ぼしていることが明らかになった.
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