本研究では鉄鋼メーカーの新表面処理である、亜鉛分散めっきの本質のナノレベル結晶成長を解明する。特にシリカ・アルミナ・チタニア粒子等の分散めっきの共析機構を原子レベルで解明し、めっきを原子レベルで制御する。研究実績を以下に示す。 1.シリカ分散粒子の取り込み機構 亜船めっきはその(00・1)η上にマクロステップの沿面成長で形成することを報告してきた。本研究では、(00・1)η上での50nm粒径シリカ粒子の取り込み機構について検討した。シリカ粒子には、(00・1)η上でランダムに析出するものとマクロステップの端面に整列するものとに分類できる事を見出した。ランダムに析出するものは、その初期吸着位置で粒子下部より単原子ステップに取り込まれる。一方マクロステップ端面に整列するものは、端面の側壁に取り込まれる。また、破面観察でもめっき内部にシリカ粒子を多数観察した。 2.チタニア分散粒子の取り込み機構 10nm程度の小粒子と50nm程度の大粒子とが共存する、チタニア粒子の分散めっき取り込み機構について検討した。50nm程度の大粒子は、(00・1)η上でランダムに析出するものとマクロステップの端面に整列するものとに分類できる。一方10nm程度の小粒子は、(00・1)η上でランダムに析出し、マクロステップ端面には整列しにくい。そのため小粒子は、主にその初期吸着位置で粒子下部より単原子ステップに取り込まれる。また、めっき初期には大粒子は取り込まれず小粒子のみが取り込まれる。破面観察でも、鋼板近傍には大粒子は存在せず、ある程度成長すると大粒子が取り込まれ出す。
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