本年度は比較的大型のセラミックス試料に対する爆発圧接なども試みたが、昨年度、小型試料を用いた場合と同じ条件で実験した場合でも、クラックが生じることが判明した。大型のセラミックスは焼結技術がよくない場合には、良好な力学特性を示さない場合があることが研究を通じて明らかになった。業者に再度、特に注意して作らせた物について、再実験を行った所、いずれも良好に接合されることが確かめられた。硬脆なセラミックス材料については、用いる原材料の吟味も重要であることが知られた。 また、我々の提案する方法は爆薬を傾斜させる法を用いるために、衝突速度や衝突角度といった接合の可否を決める重要な因子が、板面に関して一定でないという欠点を有していた。これを改良することを目的として、ここでは爆薬と試料が遠くなる分、爆薬量を増加させる方法の提案を行った。その結果、基本的には接合条件の変化をかなり小さくできることが一連の実験を通じて知られた。この方法を用いることで、さらに大型の試料に関しても条件をそろえることができ、良好な接合体を得ることができると思われた。 金属とセラミックスの他にも、金属と工具鋼などの接合も併せて試みた。工具鋼は硬化が極限まで飽和した延性に乏しい金属材料であるが、モーメンタムトラップなどを適当に配置することによって、両者は良好に接合されることが知られた。我々の提案する接合法は、各種硬脆材料の接合にも有効であることがこの実験を通じて示された。
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