本年度は、各種材料に対する接合可能条件の定量的な解明などを中心に、本方法を実用化する上で要求されるデータベースを構築することを主眼として研究を行った。ただしこれまでの研究では、金属とセラミックスが接合可能な場合でも、セラミックをはじめとする各種の硬脆材料に対して、衝撃の作用によるクラックが比較的容易に生じることが問題であった。 本年度行った一連の研究では、クラックを回避することは、金属板の衝突条件(速度や角度が重要な因子であることがよく知られている)にはあまり依存せず、むしろセラミック自身の配置法に強く依存することが知られた。対象となるセラミックスの周辺に、伝播する衝撃波を逃がす目的でモーメンタムトラップを配置することは、容易に予想されるようにまず必要なことであったが、むしろ衝撃圧によって生じる材料のたわみ変形の量を小さくすることが極めて有効であることがわかった。すなわち、試料の板厚を十分に厚くし、衝撃波の伝わる長手方向への試料サイズを極力小さくすることで、セラミックス中に極めて割れが生じにくくなることが確認された。これまでの研究では、Alと靱性の高いジルコニアセラミックスの接合にのみ成功していたが、上述のように試料配置を換えることで、慣用のセラミックス材料との接合も割れを生じることなしに可能になることが概ね確かめられた。
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