研究概要 |
出発材料を金属間化合物の組成を有する混合金属粉末とすれば,低融点側の融解によって液相が生成し固液相共存のスラリーとなる.そのスラリーに成形加工を施すと金属間化合物を低温度・低成形力で成形することが可能であることをこれまでの研究で明らかにした.そこでAl_3Ni相が主組織となるAl-42mass%Ni合金を同様な方法で作製し,成形体の高温強度特性を検討した.燃焼合成反応前に成形を行なった成形体では室温(300K)において降伏応力が高く,延性は低いが,熱処理による組織の均一化処置を行なうことによって降伏応力は低下し,延性が増加した.試験温度が高くなると,降伏応力は低下し,延性は増大するが1073Kでは,一部の共晶組織が融解するため,.延性は減少しする.燃焼合成反応終了後に成形を行なった成形体ではいずれの試験温度においても高い延性を示す.また,試験温度の上昇に伴い変形応力は低下するが,573K以上では,棒状Al_3Ni相と共晶組織が変形過程で金属間化合物に組織変化するため,降伏応力は低下し,延性は著しく増加する.しかし,燃焼合成反応前に成形を行なって得られる成形体は高温強度が高く,耐熱材料として適当であるが,燃焼合成反応終了後に成形を行なった成形体では,成形後に金属間化合物組織となるため,Al-42mass%Ni合金では,1000K近傍でSemi-solid processing法により作製した成形体を,熱間加工により二次成形し,金属間化合物組織とすれば,高温高強度の耐熱材料として十分有効な材料として期待ができる.
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