研究概要 |
平成11年度は、ダイオキシン類の主たる前駆物質とされるクロロベンゼンやクロロフェノールの供給濃度を制御可能なガス供給系を備えるガス流通型充填層反応装置を作製し、充填層内における前駆物質からのダイオキシン類生成実験を行った。得られた結果の中では、温度が300℃付近、および酸素濃度約2mol%でダイオキシン類生成量がピークを示すこと、塩化水素の添加によって高塩素化ダイオキシン類の生成割合が顕著に増加することなどの興味ある結果が得られた。 上記知見に基づき、平成12年度は、ダイオキシン類に汚染された土壌の浄化処理への炭材燃焼充填層プロセスの適用実験を行い、その有効性を検証した。実濃度として13,100pg/g、毒性等価濃度として330pg-TEQ/gのダイオキシン類を含有する実土壌試料を使用し、種々の条件(コークス配合量、石灰石添加量、水分量)において実験を行った。本実験においては、いずれの処理条件においても、実濃度および毒性除去率は98.9%以上の高い値が得られ、本方法により安定して高いダイオキシン類除去効率が得られた。また、石灰石添加、予備乾燥、事前造粒など、処理方法を工夫することにより、処理後の試料中のダイオキシン類毒性等価濃度を0.1pg-TEQ/g以下という極めて低レベルにすることも可能であることを確認した。 さらに、燃焼中の充填層におけるダイオキシン類および関連化合物の移動現象を詳細に観察するため、燃焼中断実験による試料採取および分析を行い、ダイオキシン類の除去機構についてマクロ的に明らかにした。
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