溶融塩中における気液反応の動体解析 これまでの分解処理における接触時間は、0.1秒程度であったが、接触時間を1秒程度とすることによってワンスルーの分解試験においても99%以上の高い分解率が得られた。ダイオキシン類についても溶融塩への吹き込み深さや溶融塩中での気泡径が、重要な因子であることを平成11年度の実績としてすでに報告している。しかしながら、常温では溶融塩の物性を模擬することができないだけでなく、特に高温では反応性に富むため溶融塩中における気液反応の動体解析は困難を極める。平成12年度では、高温の溶融塩中における気液反応の動体解析を行うための新たな手法に着手し、高温融体中での気泡の動体解析を行うことによって厳密な接触時間、反応面積を決定することができた。このことにより、CFC類の反応速度はその濃度に対し一次の速度式に従うことが明らかとなった。 有機塩素化合物の分解処理 申請者らは、これまで四塩化炭素、トリハロメタンなどのハロカーボン類、CFC-11、CFC-12などCFC類、ニトロトルエンなどのニトロ化合物、クロロベンゼン類、焼却飛灰中に含まれるダイオキシン類などの分解処理を試みた。これまでの分解処理における接触時間は、0.1秒程度であるため、GC/MSによりいくつかの副生成物を確認した。平成12年度においては、溶融塩との反応時間を1.0秒以上実現可能な反応手法に着手し、これまで循環方式による分解でなければ高い分解率が得られなかった化合物についてもワンスルーによる分解試験で99%以上の高い分解率を達成することができた。また、溶融塩中に鉄やニッケルイオンが数%混入することより飛躍的に反応速度が増大し、溶融塩中において安定した触媒作用があることも新たな知見として得られた。
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