研究課題/領域番号 |
11650760
|
研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
伊藤 治彦 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (70201928)
|
研究分担者 |
斎藤 秀俊 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (80250984)
|
キーワード | アモルファスCN膜 / プラズマCVD / マイクロ波プラズマ / ECRプラズマ / CNラジカル / 高分解能分光 / 高周波バイアス / 発光スペクトル |
研究概要 |
本年度は窒化炭素膜の硬質化および高窒素含有化のための条件を検討し、以下の成果を得た。 1 マイクロ波プラズマCVD法にもとづき、Arの放電フロー中におけるBrCNの解離励起反応を用いてアモルファスCN(a-CN_x)膜の合成を行った。膜中の窒素含有率は最大で50%に達した。特に五酸化リン(P_2O_5)を用いて反応系から水分を除去すると、a-CN_x膜の硬質化が生じた。赤外およびラマン分光分析の結果にもとづき、硬質化の原因が膜中の水素終端構造の低減およびそれに伴うCNクラスター間の結合の増大であることが明らかとなった。 2 Arの放電フローとBrCNとの反応について、気相におけるCNラジカルの高分解能発光スペクトルの測定を行った。その結果、Arの放電フロー中に存在する準安定原子(Ar(^3P_<0.2>))との衝突によるBrCNの解離励起反応によりCNラジカルの4重項(^4Σ^+、^4Π)状態が高効率で生成し、それらが堆積することにより高窒素含有率が達成されることが判明した。 3 上記反応系に対してさらに基板に高周波バイアスを印加してa-CN_x膜の合成を行った。その結果、-30V程度の高周波バイアス電圧を印加することにより、15GPa程度の硬質窒化炭素膜が生成すること、および膜の構造中に多量のC-N単結合が存在することが見出された。その結果、膜の硬質化のためにはArイオン衝撃による膜表面の結合改質が重要であることが分かった。 4 上記反応系を低圧(数mTorr)のECRプラズマCVDに適用し、25GPaというきわめて高硬度の窒化炭素膜の合成に成功した。硬質化の原因を調査した結果、基板ステージに-10V程度の自己バイアス電圧が生じており、それに起因するArイオン衝撃が膜の硬質化をもたらすことが判明した。
|