研究概要 |
I凝固,II電析,III気相蒸着,IV固相反応の各プロセスにおいて晶出物,堆積物および反応生成物が磁化力によって結晶配向する機構解明を通じて,その制御原理を探る研究を行い,以下の知見を得た. I凝固プロセス:Fe-C合金の凝固過程中に強磁場を印加した結果,Fe-C合金の凝固過程中に磁場を印加し,晶出グラファイトは印加磁化力と反対方向に移動するとともに,印加磁場方向に対してa,b軸方向が平行に配向することを認めた. II電析プロセス:硫酸亜鉛浴を用いてZnの電析を強磁場下で行い,電析物が磁場方向に対してc軸に結晶配向することを見出した.また,硫酸ニッケル浴を用い電析ニッケルの結晶配向に及ぼす印加磁場の効果を測定した結果,印加磁場強度の増加に従い配向することを確認した. III気相蒸着プロセス:BiおよびZnをYAGレーザで蒸発させガラス基板に強磁場中で蒸着させた.Biの蒸着物の結晶方位は印加磁場方向に対してa,b軸方向に配向することを明らかにした.Znの蒸着物は明らかな結晶配向性を示さなかった.これらの結果に基づき,結晶は磁化エネルギーによって配向することを明らかにし,結晶配向の機構解明の糸口をつかんだ. IV固相反応プロセス:PAN系炭素繊維の製造の一過程である炭素化工程に強磁場を印加するとことによって黒鉛の配向を試みたが配向に及ぼす磁場の効果を明らかにできなかったものの,炭素繊維の強度を約1000Mpa向上させることに成功した.
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