研究概要 |
研究実施計画に示した通りの次の3点の課題についての研究成果について述べる。 1)センサの応答性について:センサの実験に用いた同じ量の合金浴中にセンサと同じ大きさのパイレックスガラス管を保護管としてシース熱電対を浸漬して温度の応答性について調査したところ、30秒程度で合金浴温度になることが確認された。このことから合金浴が大量の場合はセンサの応答性が本研究結果よりもっと早くなることが期待できることになる。2)センサ構造の簡略化対策:Zn-Sn合金浴を測定極とし、673Kの温度ではZnメッキしたFe線を固体参照極としたJ型センサを用い、773Kの温度では液体Zn参照極を用いた特殊タイプのセンサを用いて実験した。1.0,2.5,5.0,10.0,20.0mass%ZnのZn-Sn合金浴について実験した。センサの製作に関しては材料、工数ともに固体参照極の方が有利であることが明らかにされた。3)コンポジット電解質の作成について:実験温度で固体のKCl粉末とZnCl_2+LiCl+KCl溶融塩が1:1の比率で共存するコンポジット電解質となるようにするために、次ぎに示す2つの方法を採用した。上記のコンポジット電解質を1073〜1173K加熱すれば均一溶液となるので、一つは石英管内で均一溶融塩を作成し、それを水冷して作成した固体粉末を充填する方法である。もう一つはタンマン管内で溶解した均一溶融塩中にセンサ用パイレックスガラス管を浸漬してセンサ内にコンポジット電解質を充填する方法である。いずれも平成11年度より優れた結果が得られ、特に後者の方法によって作成したセンサでは良い測定値が得られた。 以上はZnセンサの開発に関する基礎研究の研究成果であるが、応用例として工業的規模でのZn-Cu-Ni合金浴に同様の原理に基ずくZnセンサを適用してみた。基礎研究では低融点のZn-Sn合金にセンサを用いたのに対して、Zn-Cu-Ni合金では1473Kと言う高温度であるので基礎研究のように簡単には成功せず、数多くの問題点があることが判明した。
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