研究概要 |
本年度はモデルケースとして,銅粒子の表面にアルミナ微粒子を均一に固定化した複合粒子,および銅粒子同士を合一化させることで粒子内部にアルミナ微粒子を包含する複合粒子を調製する精密微細混合処理を行った。本処理を高速楕円ローター型粉体混合機を用いて行い,混合容器内に複合化媒体としてジルコニアビーズを添加し,粒子に加わる外力を幅広く変化させた。予備実験として,銅粒子のみを操作条件を変えながら処理し,変形した銅粒子のひずみ量から銅粒子に加えられたエネルギーを推算し,装置の操作条件との関係を明らかにした。この知見を利用することで,操作条件,すなわち試料に加えられるエネルギーを制御することによって目的とする形態の複合粒子を得ることができた。また,処理における複合粒子の明度値の経時変化を追跡したところ,アルミナ微粒子の分散に伴う複合粒子の表面状態の変化や,銅粒子の塑性変形に伴う複合粒子の形状の変化に対応して,その明度値は変化し,複合化の程度や複合粒子の形態と関連づけることができた。さらに,複合粒子同士の合一化による微粒子の取り込みの過程に含まれる,粒子表面および内部での微粒子の移動過程をモデル計算により明らかにした。 他方,射出成型用金属粉体の調製と評価では,射出成型用鉄粉を用いて金属粒子をバインダーと混練した後,溶融射出試験を行い,混練物の成形性を評価した。また,回転貫入型粉体レオメータで鉄粉の剪断試験を行い摩擦係数を測定したところ,成形牲との関連性を見いだした。さらに,鉄粉を高速楕円ローター型粉体混合機で表面処理を施したところ,摩擦特性は著しく変化し,粒子の表面状態を制御することで成形性が向上することが示された。 また,次年度で行う構造制御材料の設計の予備実験として,無機粉体/高分子繊維/熱可塑性樹脂の3成分を用いた複合材料の造粒実験を行い,材料設計における造粒の有効性を示した。
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