1.緒言 近年、半導体製造工程でフッ素系、塩素系の特殊材料ガスが多量に使用され、これらが処理されずに排出されている。これら特殊材料ガスを化学反応により無害化する方法について検討を行った。フッ素系、塩素系の特殊材料ガスと金属塩の反応性、反応温度などの基礎データは少ないのが現状である。そこで本研究では反応装置を試作し、フッ素系特殊ガスである三フッ化窒素と塩化カルシウムの反応性についての検討を行った。 2.実験結果および考察 CaCl_2導入量を0.03molと一定とし、NF_3導入量を変化させたときの温度と圧力の変化を観察した。当量導入したとき約170℃付近から急激な温度上昇が見られ、この温度付近から反応が進行したと考えられる。一方、圧力変化は化学量論計算での値よりも低い結果が得られた。これは粒状のCaCl_2を使用したため、CaCl_2の内部まで反応が進行せず、未反応のNF_3が残ったためと考えられる。X線回折の結果からCaCl_2はCaF_2に変換されていることが確認された。このことから、NF_3およびNF_3を含む混合ガスにCaCl_2による化学反応を適用することにより、燃焼処理に比較して低温でかつ無害化処理できることが確認できた。 3.結言 半導体製造工程から排出されるNF_3は現在、約800℃で燃焼処理されていることを考慮すると本方法では約200℃の低温で処理が可能である。また、反応生成物は塩素を除いて無害であり、特殊材料ガスの無害化に対して有効な方法であると考えられる。
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