非線形性の強い化学反応、燃焼反応のように素反応の数が非常に多い場合や、CVDなど反応・拡散・吸着など多くの輸送・反応過程が組み合わさっている場合なども反応速度解析は困難であり、反応機構そのものを推測すること自体が困難な場合が多い。そこで、圧倒的に情報量を多くとれる動的反応の時系列データをニューラルネットワークに学習させバーチャルリアクターを構築し、これを用いてバーチャル実験を行い、反応機構および反応速度パラメータを決定する新しい動的反応工学手法を確立することを目的として研究を行った。 本年度は、モデル反応としてNOxとカーボンの反応をとりあげ、固定層反応実験により、温度および入口ガス濃度を連続的に変化させて動的反応データを集積した。生成物濃度の時系列データを温度、触媒量などをパラメータにしてニュートラルネットワークに学習させ、隠れ層のノード数などANNの構造および学習方法の最適化を図った。このニュートラルネットワークは実験データをよく再現でき、かつ生成物濃度を高い精度で予測することができることがわかった。
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