研究概要 |
本研究は、炭化水素の燃焼によるダイオキシン骨格の生成が、シクロペンタジエニルラジカル(c-C_5H_5)と一酸化炭素(CO)によるフェノキシラジカル(C_6H_5O)の生成反応(1):c-C_5H_5+CO→C_6H_5O、及びC_6H_5Oの脱水素付加反応(2):2C_6H_5O→C_6H_4O_2C_6H_4+H_2を経て起こると考え、これらの反応過程を調べることを目的として実験を行った。 1,分光分析実験として、衝撃波管(無隔膜式、内径50mm)を用いた。酸素、水素原子生成測定用の原子共鳴吸収法の検出感度を向上させるため、光源用電源として、低ノイズ低リップル型マイクロ波発生装置に置き換えを行った。また、不完全燃焼生成物であるCOの濃度変化を、新規の高感度InSb赤外検出器を用いた発光測定により行った。先ず、出発物質としてメチルフェニルエーテル(C_6H_5OCH_3)を用い、反応(1)の逆反応、C_6H_5Oの熱分解によるCOの生成過程を調べた。次に、出発物質としてシクロペンタジエン(c-C_5H_6)を用い、熱分解によるc-C_5H_5の生成過程を、次いで、酸化反応によるCOの生成過程を調べた。これらの実験結果とコンピューターを用いた反応シミュレーションとの比較により、反応機構及び素反応速度定数の解析を行った。その結果、逆反応の観測から、反応(1)は1500K以下の温度において、ほぼ化学量論的に進むことが確かめられ、その速度定数が求められている。 2,ガス分析実験用に、もう一つの衝撃波管(内径78mm)を改造し、無隔膜型単パルス衝撃波発生装置を取り付け、衝撃波加熱直後に急冷却して反応を停止させ、反応生成物を迅速採取できるよう改造を行った。現在、この装置の作動特性等を調べているところである。来年度、これらの装置を用いて別の角度から、反応(1)及び(2)の検討を行う予定である。
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