研究概要 |
ゼオライトは結晶性アルミノケイ酸塩であり、その一つであるMFI型ゼオライトはその結晶内にベンゼン環とほぼ同じ径の細孔を持つため、分子篩効果を示す。一般には0.0数〜数ミクロンの粉末として合成されるが、膜として合成できれば高度分離や反応・分離同時プロセスへの応用が期待される。そこで、本研究では、このMFI型ゼオライト膜を種々の高度分離および反応・分離同時プロセスに適用することを目的として実施した。 平成11年度は(1)膜の合成条件を検討することで、現在達成している分子篩能をさらに向上させることに成功した。(2)高度分離の一つとして濃酢酸溶液からの水の選択透過を実施し、化学〓業で切望されている95%以上の濃酢酸溶液からの水の選択透過に成功した。また,ガス分離として多様な分子の分離が可能となるように(3)シリカを細孔内表面の触媒活性点上へ選択的に付着させる全く新しい方法により細孔の有効径を制御する新規なシラン接触分解法を開発した。この方法をMFI型ゼオライト膜に適用して、水素と窒素(または酸素)の混合ガスから水素を分離係数100の状態で選択透過させることに成功した。 平成12年度は、平成11年度に開発したシラン接触分解法をゼオライト膜の活性点である酸点の分布制御法に展開した。その結果、膜供給側の酸点のみを不活性化するする手法を開発した。この触媒膜を用い手メタノールの反応を実施したところ、供給側と透過側の差圧ゼロの状態においてもオレフィン(反応中間体)を選択率85%で得る(MTO反応)ことに成功した。
|