SEM画面上における粒子の認識と粒径測定およびこの粒子のEDSによる組成分析をコンピュータによって自動的に行わせるCCSEMシステム(Computer Controlled Scanning electron Microscopy)を開発して、RDFと都市ごみを燃焼炉で燃焼し、捕集した飛灰、バグフィルター灰中の粒子単位の灰分析を行い、灰粒子の組成や粒径変化を明らかにした。本測定では、1〜150μm程度の大きさの灰粒子を対象として、50倍で22μm以上、250倍で5〜22μm、800倍で1〜5μmの粒子を対象に分析した。なお、本システムでは、1個の灰粒子は均一組成と見なし、その粒子の60パーセントの面積に均一に電子ビームを照射して、粒子内の「平均的な」元素分析を行った。 この結果、固体中の元素含有率が約1%以下の薄く分散している元素については、定量分析を行うことは困難であったが、粒子中に含まれる元素の含有率が比較的高いが、存在している粒子の個数が少ない元素の測定に対しては、CCSEMは数千個単位の粒子を測定することから解析が可能であることが明らかになった。アルカリ金属であるKは、1個あたりの含有率は5%前後であるが、全粒子の10%前後の粒子に含まれていること。一方、Pb、Zn、Cuなどの重金属は粒子中には10〜20%とかなり高い含有率で含まれているが、粒子個数からみると0.1〜1%前後と個数が少ないこと。つまり、これらの金属粒子は1個あたりの含有率が高いが、灰中にまばらにしか存在しなかった。 次に、これらの元素が他のどの元素と共存(結合)しているかをまとめた結果、ハロゲン類はアルカリおよびアルカリ土類金属、貴金属など多くの元素と結合していることがわかった。KはSiとAlと結合しており、粘土鉱物を構成している。BaはほぼBaSO_4の形で存在している。また、CrはFeと共存しているなどの情報を得ることができた。
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