研究概要 |
「元素組成」や「灰組成」のような灰の巨視的な特性の代わりに、粒子一個一個の組成と粒径のデータをもとに炉内における灰挙動の検討をすることを目的に、下水汚泥を流通式燃焼炉(DTF)で燃焼したときに発生する燃焼灰粒子を数千個レベルで採取し、燃焼灰の粒径分布ならびにそれぞれの粒子の化学分析をComputer Controlled Scanning electron Microscopy(CCSEM)を使用して測定した。 1000℃で燃焼させたときの飛灰のほとんどが溶融せず、ほぼ原型の形状をとどめていたが、1300℃になるとほとんどの灰粒子が溶融し、球形に変化した。また灰粒子表面には、低沸点の金属が噴出した穴や、一旦は蒸発した鉄などの微粒子が表面に析出していることなどが観察された。1000℃の燃焼条件における灰粒子の粒径分布は、灰粒子が原型をとどめているため、20〜200μm程度の粒径分布となるが、1300℃の高温燃焼になると、燃焼炉内で灰の溶融がおこり、その結果として2〜40μmの小粒子へ移行した。また、1μm程度の気相析出した粒子も多数測定された。粒子の組成として、1000℃ではSiO_2、CaO、Fe_2O_3、Mg-P-O(Mg_3P_2O_8?)、Ca-P-O(CaO_6P_2?,Ca_2P_2O_7?)などの酸化物やCaSO_4、Na_2SO_4、ZnSO_4などの硫酸化物や、Ca-Silicate、K-Al-silicateなどの複合酸化物が検出された。一方、1300℃では、上記の化合物に加え、Si-Al-Ca-Fe-P-Mg-OあるいはSi-Al-Ca-Fe-P-Zn-Oからなる溶融粒子に変化することが明らかになった。
|