11年度は、白金ナノ細線合成の最適化、白金以外の遷移金属ナノ細線・ナノ粒子の合成、バイメタリックナノ細線の合成、について研究を行った。 1.白金ナノ細線合成の最適化では、白金塩をメソ細孔物質FSM-16に含浸担持後、真空乾燥を十分に行うことにより、300nmというこれまで以上に長いナノ細線が得られることが分かった。これらの構造を透過型電子顕微鏡、X線吸収微細構造法、X線光電子分光法、ガス吸着法、などにより検討した。さらに、有機-無機ハイブリッドメソ多孔体PESOを担体とすると、白金粒子が数珠つなぎのように連なって細線構造をとることが、高分解能透過型電子顕微鏡観察から明らかとなった。白金細線は白金粒子に比べて表面白金原子当りブタン水素化分解の活性が高くなり、金属触媒の形状により触媒活性が向上するという興味深い結果が得られた。 2.白金以外の遷移金属では、ロジウムのナノ粒子をFSM-16内に調製できるようになった。これは、塩化ロジウムを担持後に比較的低温で焼成をすることにより、ロジウムイオンが外表面上へ移動するのを抑制できたためである。また、FSM-16内に金のナノ細線も調製できることが分かった。現在、透過型電子顕微鏡やX線吸収微細構造法などによりで構造解析を進めている。さらに、金属前駆体として蒸気圧の高い金属錯体を用いてCVD法によりメソ細孔内に導入する試みを行っている。 3.バイメタリック系としては、白金とロジウムのナノ細線と粒子がFSM-16やPEPO内で調製できることが分かった。バイメタリックナノ細線の細孔内合成としては初めての例である。また、磁性材料として興味深い白金-パラジウム、白金-鉄のナノ構造体をFSM-16内に構築する研究を進めている。
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