研究課題/領域番号 |
11650806
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
前 一廣 京都大学, 工学研究科, 助教授 (70192325)
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研究分担者 |
中川 浩行 京都大学, 工学研究科, 助手 (40263115)
三浦 孝一 京都大学, 工学研究科, 教授 (40111942)
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キーワード | H_2O_2酸化 / バイオマス廃棄物 / 低級脂肪酸 / Fenton反応 |
研究概要 |
本研究では、バイオマス系廃棄物を再生可能なエネルギー資源と捉え、廃熱レベルのエネルギー投入で有用化学物質に変換することで、環境浄化とエネルギー回収を同時に実現する新技術の開発を目標にしている。本年度はまず、バイオマスの構造(リグニン、セルロース)中の含酸素官能基に着目して、バイオマス、廃棄物などの低品位資源を過酸化水素水などの酸化剤で〜80℃までの低温、常圧で酸化分解することで、一部芳香環を解裂させながら低分子化し、有用化学物質を得る技術の開発を目指し、バイオマスの新規酸化法に関して検討を実施した。 その結果、セルロースは無触媒下でのH_2O_2酸化では60℃までの温度で全く分解しないこと、少量Fe添加でセルロースの70%近くが分解され30%程度の水溶性有機物が生成し、約15%の収率で蟻酸、グリコール酸を回収できることがわかった。また、リグニンは、無触媒下でのH_2O_2酸化でも分解し、この生成液にFeを添加して室温で二段酸化することで、蓚酸を主成分とする低級脂肪酸が44%も回収することに成功した。これは、f_a値との比較から第一段酸化による芳香族の開環で多量の蓚酸前駆体が生成したためと推察された。 さらに、以上の知見を踏まえて、実際のバイオマス廃棄物の新規酸化法として水熱処理-液相酸化法を提案し、その有効性を検討した。その結果、まず180℃の水熱処理によってヘミセルロースを完全に分解し糖類を回収できること、続くH_2O_2酸化でリグニンのみを分解させ、約30wt%の低級脂肪酸を回収するとともに純セルロースのみを固体として回収できることを明らかにした。今後、生成液のアップグレーディング等の検討を実施していく予定である。
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