研究概要 |
本研究では、厳密な構造決定や制御が容易である「シリカ担持触媒のモデル分子」としての観点から、遷移金属種および典型金属を含有するオリゴシルセスキオキサンを前駆体とする、全く新しいタイプの不均一系触媒材料の創製を目的として、新規遷移金属および典型金属含有オリゴシルセスキオキサンの合成、およびそれらの重合や焼成等による不均一系触媒材料の開発を検討した。 本年度は、まず第一に、多様な構造を有する一連の新規13族元素含有シルセスキオキサンを合成し、それらの焼成による酸化物触媒材料の調製を検討した。その結果、固体酸触媒の前駆体としては架橋型アルミニウムおよびガリウム含有シルセスキオキサン([(c-C_5H_9)_7Si_7O_9(OSiMe_3)O_2]_2M,M=Al or Ga)が有効であり、含まれる13族元素の約1/3が酸点形成に関与すること、および400〜500m^2g^<-1>の大きな比表面積を有し、径が約5Åに均一に制御されたミクロ細孔のみから構成されていることが判明した。 第二に、固体表面への固定化や重合反応の手がかりとなる、適当な置換基を有する新規金属含有シルセスキオキサンの合成と、有機-無機複合触媒材料への変換反応を検討した。その結果、オレフィン部位を有する一連の新規4族遷移金属含有シルセスキオキサンの合成し成功した。さらにオレフィン部位のヒドロシリル化によって、表面への固定化に有効な官能基であるエトキシシリル基を導入した。一方、オレフィン部位を2つ有するチタン含有分子([(c-C_5H_9)_7Si_7O_9(OSiMe_2RO_2]_2Ti、R=vinyl or allyl)を合成し、ヒドロシリル化によって、オクタキス(ヒドリドシルセスキオキサン)(H_8Si_8O_<12>)との共重合体に導いた。その際、前駆体のチタン含有シルセスキオキサンに特徴的なチタン原子周囲の部分構造は、共重合体中でも保持されており、特定の構造の金属種のみを含有する有機-無機複合材料が得られた。
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