研究課題/領域番号 |
11650809
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
丹羽 幹 鳥取大学, 工学部, 教授 (10023334)
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研究分担者 |
奥村 和 鳥取大学, 工学部, 助手 (30294341)
片田 直伸 鳥取大学, 工学部, 助教授 (00243379)
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キーワード | ゼオライト / 固体酸性質 / 骨格外アルミニウム / アンモニア昇温脱離法 / クラッキング反応 |
研究概要 |
これまでのZSM-5の酸性質に関する検討から、ZSM-5には通常の骨格内のAlに由来する酸点のほかに強酸点が発現していることが見出されてきた。 今回、酸点の強度分布・濃度の定量的測定が可能であるアンモニア昇温脱離法(NH_3TPD)を駆使し、この強酸点の発現要因とその触媒作用について検討をおこなった。その結果、この強酸点はAlを含浸法によって導入、あるいは、脱Alにより生成すること、さらに脱Alの程度と強酸点濃度が対応することから、強酸点の発現にはZSM-5の骨格外のAlが関与していることが推察された。さらにNH_3TPDによるZSM-5上の酸点の定量的検討から、この強酸点は骨格外Alと骨格内Alとの相互作用によって生ずることが示唆された。酸点の種類を同定するため、吸着ピリジンをIRによって観察したところ、骨格外Alの存在によりルイス酸濃度が増加していることがわかった。 触媒作用としてオクタンのクラッキングについて検討したところ、強酸点濃度が高いほど転化率が増大しており、骨格外Al濃度が触媒活性を決める上での重要な要因の一つであることが示された。 以上のように本年は酸性質・触媒活性といった面から、ZSM-5上で発現する酸性質を巨視的に調べできた。次年度は微視的な視点から強酸点サイトの構造に関する検討を行う。キャラクタリゼーションの手法として、MAS NMRによりAl側、Si側の双方から情報を得ることにより強酸点の構造を解明する。今回はZSM-5について検討してきたが、さらに他の構造を有するゼオライトと比較し、強酸点発現の機構を明確にする。
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