メタンなどの炭化水素を分解して水素を製造する際に炭化水素中の炭素を固体炭素として生成させ、二酸化炭素の排出をなくす方法について検討を行った。固定層反応器を利用した触媒開発については、すでにいくつかの研究グループによって検討がなされている。本研究では、生成した固体炭素を連続的に取り出すために反応器として流動層の適用性について検討を行なうことが目的である。 触媒としてはニッケルをアルミナおよびシリカに担持したものを調製した。固定層反応器は内径は8mmのステンレス鋼管を使用した。反応温度は500℃である。流動層は内径が12mmであり、流動層本来の流動状態での実験はできないが、少なくとも反応器内部で粒子は運動している。流動層での反応には平均粒子径が約60ミクロンの触媒粒子を流動化させた。 反応速度はシリカ担持のものが優れていた。単位Ni重量あたりの炭素析出量は担持率が低いほど大きくなった。固定層の場合には、反応開始後120時間でには成長した炭素により反応管が閉塞した。しかし、流動層においては閉塞せずに炭素が析出した。このことは流動層利用の利点の一つである。今後はさらに単位触媒重量あたりの炭素析出量を増やすための触媒の開発と触媒および析出炭素が付着した触媒の流動性、触媒の連続的供給及び析出炭素の連続的抜き出しについての検討を行う必要がある。
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