今年度は、種々のジルコニア質量分率をもつアルミナ-ジルコニア触媒の酸性質とブタン共存下でのCFC-115の燃焼分解活性との関係について検討した。触媒の活性は通常の常圧流通反応装置で、触媒の酸性質はアンモニア昇温脱離法により調べた。その結果、アルミナ-ジルコニア触媒の酸強度はジルコニアの質量分率によりほとんど変化しなかったが、酸量はジルコニアの質量分率が上昇するにしたがって低下する傾向が認められた。また、アルミナ-ジルコニア触媒のCFC-115燃焼分解反応においては、その初期活性はジルコニアの質量分率が増加すると減少する傾向が認められたが、流通開始後4時間後の活性は、ジルコニア質量分率が0.2のところで極大値を示す結果が得られた。これらの結果から、アルミナ-ジルコニア触媒によるブタン共存下でのCFC-115の燃焼分解活性は触媒の酸量に依存するが、活性劣化の程度に関しては触媒の酸量には依存しないことがわかった。ブタン共存下でのCFG-115の接触燃焼分解反応では、無触媒あるいは酸性質を持たない触媒でもCFC-115の分解が認められたことから、酸量と触媒活性の関係をより厳密に求めるためには、無触媒等で反応が起こらない加水分解(燃焼分解ではブタンが燃焼して生成した水による加水分解でCFC-115が分解すると考えらえる)で反応速度を調べる必要があると考えらえれる。 アルミナ-ジルコニア触媒ではジルコニアの質量分率によりBronsted酸(B酸)とLewis酸(L酸)の比(B/L)が変化すると考えられる。そこで来年度は、 (1)アルミナージルコニア触媒の酸量とCFC-115加水分解速度の関係 (2)触媒の活性劣化に対する触媒のB/L比の関係 を調べ、Bronsted酸およびLewis酸上での反応機構の違いについて考察する。
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