平成11年度はフロン-115の燃焼分解がアルミナージルコニア触媒の酸量と良い相関関係にあることを報告した。しかし、フロン-115の分解速度と触媒の酸量の関係が直線関係にならなかった。これは酸の種類による影響があると推察されたので、平成12年度は酸の種類(Bronsted酸およびLewis酸)とフロン-115分解性能の関係を調べた。その結果、Bronsted酸点上よりもLewis酸点上の方が分解速度が速いこと、Bronsted酸点の方がLewis酸点よりも活性低下しにくいことがわかった。比較的低い温度で分解が可能と考えられるフロン-12の加水分解をアルミナージルコニア触媒を用いて行ったところ、反応途中に活性が向上するという特異な現象が認められた。触媒の構造および酸性質の変化を調べたところ、アルミナージルコニア触媒はフロン-12の分解反応中に新たな酸点を生成していることがわかった。一方、水を添加しないフロン-12の酸化分解をアルミナージルコニア触媒を用いて行ったところ、フロン-12の不均化反応が主反応であることがわかった。この反応はアルミナージルコニア触媒上のLewis酸点で起こり、2分子のフロン-12からフロン-11とフロン-13が、生成したフロン-11と原料であるフロン-12からフロン-10とフロン-13が生成していることが推察された。さらに、フロン-12の分解に酸化タングステン(VI)担持アルミナージルコニア触媒を適用したところ、他の触媒では活性低下の著しい酸化分解でも白金を添加することにより高い活性を維持すること、これは白金により触媒表面へ残留しているフッ素を分子状フッ素として触媒表面上から除去されるためであることがわかった。
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