耐酸性菌Thiobacillus thiooxdansの耐酸性機構を解明するために、耐酸性に関与していると推定されるcytochrome cの分離精製を行った。 1.膜結合型cytochrome cの精製:菌体を破砕して得られた無細胞抽出液を遠心分画して得られた沈殿を細胞膜画分として調製した。細胞膜画分からTritonX-100を用いて可溶化した膜結合型cytochrome cを含む溶液を、TritonX-100を含むpH7のリン酸緩衝液で平衡化したCM-celluloseおよびHydroxyapatiteカラムクロマトグラフィーで精製した。cytochrome c特有のスペクトルをもつ蛋白が得られた。この標品をSDS電気泳動した結果、1本の蛋白バンドが検出され分子量は18kDであることが明らかとなった。 2.水溶性cytochrome cの精製:菌体を破砕して得られた無細胞抽出液を更に超遠心して得られた上澄みを水溶性cytochrome cを含む粗抽出液として調製した。粗抽出液を硫安分画した。画分をリン酸緩衝液(pH7.0)で透析した後、同緩衝液で平衡化したCM-celluloseおよびHydroxyapatiteカラムクロマトグラフィーで精製した。精製標品のNative-PAGEおよびSDS-PAGEを行ったところ、単一バンドが検出され、完全精製できていることがわかった。還元型吸収スペクトルの測定からヘムc蛋白特有の吸収ピークが認められた。また等電点の測定から本標品は塩基性蛋白であることが確認された。
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