研究課題/領域番号 |
11650823
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
小幡 斉 関西大学, 工学部, 教授 (00067646)
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研究分担者 |
山出 和弘 関西大学, 工学部, 専任講師 (40158233)
河原 秀久 関西大学, 工学部, 助教授 (10234105)
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キーワード | 炭酸カルシウム / 結晶化抑制物質 / Bacillus / 南極 |
研究概要 |
数種の生体内の分泌液は、カルシウム塩の結晶化を抑制し、その過飽和状態を維持しているのは主にタンパク質であると言われている。そこで、南極のヴァンダ湖の塩濃度は高く、塩化カルシウム濃度として約15%であるということに注目し、その湖から分離した菌株から、カルシウム塩結晶化抑制物質を産生する細菌のスクリーニングと分類学的諸性質ならびに結晶化抑制物質の諸性質について検討を行った。 カルシウム塩結晶化のモデルとして、炭酸水素ナトリウムと塩化カルシウムから炭酸カルシウムができる反応系を25℃、初発pH8.7で行い、570nmにおける吸光度の経時変化を測定した。ヴァンダ湖から分離した菌株を培養し、洗浄後破砕し、核酸を除去した上澄み液を透析して高分子化合物を得た。この高分子化合物を結晶化の反応系に添加して検討した結果、結晶化を強く抑制する菌株20-1をスクリーニングすることができた。この菌株20-1はグラム陽性の桿菌で、運動性があり、芽胞をつくり、カタラーゼ陽性、オキシダーゼ陰性となり、基質資化能からBacillus sp.と同定した。この菌株20-1から得られた高分子化合物をエタノールで分画し、さらに各種クロマトグラフィーで分離することにより精製を行っているがまだ精製されていない。エタノール分画後の高分子化合物による結晶化抑制を最終タンパク質濃度として、0.05μg/ml添加した場合の反応系の吸光度の上昇が認められず、完全に炭酸カルシウムの結晶化を抑制していることが確認できた。また、各種酵素の影響を調べた結果、炭酸カルシウム結晶化抑制物質はタンパク質、糖ならびに脂質が関与しているのではないかと考えられる。温度安定性については非常に安定であるという結果が得られた。
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