研究課題/領域番号 |
11650824
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研究機関 | 北九州工業高等専門学校 |
研究代表者 |
畑中 千秋 北九州工業高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (80180884)
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研究分担者 |
後藤 宗治 北九州工業高等専門学校, 物質化学工学科, 助手 (40259966)
井出 俊輔 北九州工業高等専門学校, 総合科学科, 教授 (10041550)
原口 俊秀 北九州工業高等専門学校, 化学工学科, 教授 (00038598)
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キーワード | 環境安全工学 / 排水処理 / 富栄養化 / アンモニア除去 / 硝化 / 中空糸型バイオリアクター / ポリスルフォン |
研究概要 |
孔径0.2μのポリスルフォン中空糸の表面をポリビニルアルコール(PVAと略記)によるコーティングによって親水化処理した。これを束ねてポリウレタンでポッティングし中空糸エレメントを作製した。一方、下水処理場より分取した硝化菌および脱窒菌を8%PVA(クラレ製、ケン化度99.9%)水溶液中に分散させ、上記エレメントを浸漬した後、-25℃にて48時間凍結することによって中空糸表面に菌体薄膜が形成されることを明らかにした。この中空糸エレメントを1.5lのジャケット付きガラス管に装着して、有効接触面積0.7m^2のリアクターを製作し、内部に空気、外部に硫酸アンモニウムおよび炭酸ナトリウムを含む人工排水を流してアンモニアの連続酸化を行った。この場合、120mg-N/1・h程度の硝化速度が得られ従来のリアクターに比べて10倍以上の高効率化が可能なことが示された。高い硝化速度を得るには中空糸表面に菌体を固定化した後、有機炭素源を適時、適当量添加しながら馴養する必要があることがわかった。また、固定化菌体中には独立栄養菌である硝化菌と従属栄養菌であるBOD酸化菌が共存しており、排水中のアンモニアとBODの量比が両菌体の活性に密接に相関していることが明らかとなった。また、硝化により生産される硝酸、亜硝酸によりリアクター内のpHが低下するがこれを弱アルカリ側に維持することによって高い硝化速度の得られることもわかった。続いて、脱窒菌についても硝化菌と同様に中空糸表面に効率よく固定化されることがわかった。この場合、中空糸外部および内部より窒素ガスを供給することによってリアクター内の容存酸素濃度を1ppm以下の嫌気状態に維持することが可能であり、硝酸から分子状窒素への還元反応が効率よく行われることがわかった。脱窒菌はその増殖に当たって有機炭素源が必要であり、硝酸態窒素量と総有機炭素量(TOC)の比(TOC ratio)が脱窒速度に大きな影響を及ぼし、グルコースを用いた場合、TOC ratio3.0以上で脱窒率が100%に達することがわかった。
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